「悪魔城ドラキュラX 月下の夜想曲」クリア

悪魔城ドラキュラ X」の二作目。探索型、メトロイドヴァニアの「ヴァニア」部分はここから始まった。原点でありながら完成度の高い傑作。

 

前作「血の輪廻」のラストから始まる粋なプロローグ。なんだけど、新搭載のスライディングに、アンディ・ボガードの倍くらい飛距離があるドロップキック、身長の6倍以上に跳び上がるハイジャンプアッパー、鞭を高速回転させながらの空中ダッシュタックルと、バク宙ぐらいしかできなかったリヒターが超人化している。

そんな記憶の改ざんに加え

どなたですか?

 

私の頭の中のリヒター

 

キャラクターデザインも小島文美さんに変わったことで、前作の熱気漂うリュウ・ベルモンドから気品溢れる耽美ベルモンドへとバージョンチェンジ。セガサターン版はこのデザイン準拠のグラフィックで遊べるらしい。

 

そして普通にやられる

それから5年後。リヒターは謎の失踪を遂げ、さらにこの数年足らずで再びドラキュラ城が復活する。異変の謎を探るため単身城に乗り込むマリア。そしてもう一人、数百年の眠りから目覚め、忌まわしき故郷へと向かう男がいた。

今作の主人公にして、かつてリヒターの祖先「ラルフ・ベルモンド」と共に父であるドラキュラを滅ぼした英雄、アルカードだった。

左が今作、右が「悪魔城伝説」の姿

アルカードはレベルや装備品などRPG的な成長、強化要素が詰め込まれている。探索中に入手できる剣や棍棒、チャクラムなど様々な武器を扱える上、一部の武器から技を引き出すことができる。

さらにコマンド入力によって発動する必殺技、これがよく出来ていて回復のフォローから支援砲撃、無敵を利用した回避にすり抜けなど、ゲーム攻略をより面白くしてくれる。己の身一つだったバシタカードから大きく進歩した。

 

入手した武器の能力を確認しつつ持ち替えながら攻略していく。特にメインで愛用したのが、高速で敵を倒す快感を味わえるコンバットナイフ、範囲や属性に優れるホーリーロッド、技エフェクトがかっこよくて制圧力も高いムーンロッド、振りの速さが別格のアルカードソードの4つ。他にも対空のブルーナックル、ミニ波動拳オリハルコンなど、特徴的な武器がいくつもある。

 

寝る前に自ら封印したのか、悪魔城伝説での代名詞だった「コウモリ化」の能力が初めは使えない。これは各所に散らばる「魔導器」を獲得することで、変身を含め様々な機能やアクションが解禁、さらに探索範囲を広げていく、という楽しさに繋がってくる。

指を咥えて見ているしかなかったアイテムを手に入れる喜びは、たとえそれが有用な物でなくともしっかり感じられる。未踏領域に足を踏み入れる高揚感は何物にも代えがたい。

スパイクブレイカではしゃぐ悲境の貴公子

アルカードといえばその歩行モーションの滑らかさに騙されそうだが、とにかく足が遅い。オープニングデモの貴公子ダッシュはどこに置いてきた。

そんなわけで多くのプレイヤーが連続バックステップの機動性に目を付け、後ろ向きに城を突き進む変態の仲間入りを果たすわけだが、まあ連射コンがないと辛い。このゲームやキャラクターのネタとして愛される要素の一つであり、かくいう自分も楽しんではいたが、真面目に考えるとめんどくさい以外の何物でもない。

 

ボスに関しては全体的に易しい。というよりプレイヤー側の強さの変動が激しくバランスが取りづらいのかもしれない。初見プレイではウェアウルフ&ミノタウロスの華麗なコンビネーションを見ることもなく倒せてしまったのが勿体ない。

そんな中でもひときわ異彩を放つのが「ぼくドラキュラくん」からゲスト出演を果たした魔神ガラモス。隠しボス(隠してないが)と言われているだけあってかなりの強敵。めちゃくちゃタフ。そして何よりデカい。

ちょっと面影ある

放電の隙を霧化で躱しながら股下に潜り込み、貯め込んでいたモンスターカプセル3を惜しみなく投入して一斉攻撃。後ろに回り込むと馬脚キックで崩されるので前方と股下を交互に行き来してヒットアンドアウェイを心がける。

 

最序盤は低いパラメータや回復アイテムの稀少さからまだ緊張感があるが、そこさえ抜けてしまえば後は苦しむことなく進める。しかし後半の逆さ城から凶悪な魔物が数多く現れ、物量も桁違いになってくる。終盤まで気が抜けなかった。

「おやじのいこう」はこのために取っておくものだ

 

~クリア後~

リヒター、マリアがプレイアブルに追加される。アルカードと違いパラメータは固定でライフアップのみ有効。一応お金も拾えるが爺は何も売ってくれない。

 

リヒターは鞭の射程の長さが改めて実感できる。SFCの振り回しも追加(しかもダメージは通常と同じ)され、強力な体術と広範囲のアイテムクラッシュも含めて攻撃性能に優れる。反面バックステップや二段ジャンプができないので小回りが利かない。ダッシュが微妙に出しづらいのも難点。

ハイジャンプ、タックルは高いダメージを与えられる上に無敵付きという大盤振る舞いだが、タックルのコマンドが安定しない。狭い侵入経路(特に逆さ城)ではこのコマンド入力が的確にできないともたつきがち。波動拳の前に↑が入るだけで難しい。



マリアは

誰!?

 

マリアは前作の召喚スタイルを引き継ぎつつ、失われた高速スライディングを補うように素の足の速さと白夜式ダッシュの追加で高い機動力を誇る。

しかし少女時代の殲滅力はどこに行ったのか、全体的な火力の低さが目立つ。お手軽にハメられるマルファス相手でも、通常攻撃だけでは(属性もあってか)打点が低すぎて目も当てられず、サブウェポンも相性によっては無駄に時間がかかる。

おまけに他二人と違って無敵状態での移動アクションができないのも痛い。一応続投しただけの低速ローリングは本当に使いどころが分からない。モーションはかわいい。

セガサターン版ではリヒターの影響を受けてか、かなりの武闘派に成長している模様。飛び蹴りで敵を屠りつつ、バウンドしながら進撃していくさまは圧巻。

 

これでひとまず悪魔城タイムはお休み