「キャッスルヴァニア(PS2)」クリア

かつて妄想した「ナックルズを操作するバトル中心のステージ」が一本のゲームとして実現されていた。3Dアクションとしては64の「黙示録&外伝」に続いてシリーズ2作目。

ヴァンパイアキラーの真実、そしてベルモンド家とドラキュラの長きに渡る因縁の始まりを見届けよ。キャッチコピーは「怒涛のムチ攻め。」

 

同じく3Dアクションに馴染みの薄かったFFシリーズのスピンオフ作品「ダージュオブケルベロス FFVII」を想定していたこともあって、印象としては悪くない。

確かに、進んでは強制戦闘を繰り返すという単調さは否めないし、マップを接続するための廊下が無駄に多い上に移動速度も遅いためテンポが悪い。

カメラの動きが固定なせいで距離感もつかみにくい。的確なタイミングや位置調整が重要な場面ではよく足踏みさせられ、ダークゾーンではレオンの断末魔が響き続けることになった。敵も視認しづらいが、位置関係は音で把握できるので画面外からの被弾はそれほどでもない。個人的には所々に飾られた絵画をじっくり鑑賞できないことが残念だったか。

 

ただ防御や回避を主体とした戦闘は好みで、鞭のコンボと効果音の気持ち良さでアクションに関しては好感触。ボス戦に至っては素直に面白かった。

また、今作にはレベルの概念が存在しない。各所で入手できるパワーアップアイテムは、HP、魔導器用のMP、サブウェポン用のハートの最大値を上げるものだけで、他のステータスは装備品で変動する。この設計のおかげで5つのステージを自由な順番で(「迷宮」「奏楽堂」の難易度は高めだが)攻略できるのも良かった。

 

主人公のレオンは「常勝の騎士」と称されるだけあって初めから二段ジャンプが使える。急降下キックに炎がエンチャントされるのは謎だけど、クリストファーや(ソニアや)リヒターも炎を操っていたのでベルモンド家は何かと縁があるのかもしれない。

鞭による攻撃は弱()と強(△)で華麗なコンボを繋げる無双方式。このタイプには珍しく、初動は動きの速い敵を足止めしたいとき程度で、基本は威力と範囲に優れるを使うことの方が多かった。ゲームを進める中でコンボルートも拡張され、スタイリッシュさにも磨きがかかっていく。

コンボの組み立てに融通が利くのも良い点で、例えば後半でよく使ったヴァーティカルハイは「□□□△」と表記されているが、実は二段目までは自由に組み込めるので「△」で広範囲を巻き込みつつ高いダメージを狙う、といったアレンジが可能。

先行入力が早い段階で効くので連打すると狙ったコンボが出しづらい。逆を言えば猶予が長く、一回押せばきちんと繋がってくれるプレイヤーにもコントローラにも優しい設計。

 

それからシモンやジョニーと同じく、悪魔城アスレチックを楽しむために高所に鞭を引っかける特殊アクションが存在する。振り子運動を利用してのターザンスタイル……と思いきや、巻き付けて静止したあと「上から跳び越える」という実質三段ジャンプのような挙動を見せる。(大人の事情は抜きにして)開祖もまた超人だった。

 

おなじみのサブウェポンは全5種類。さらに各地で入手できるオーブ7種と組み合わせることでジュストのスペルフュージョンのような魔法を繰り出せる。とにかく種類が多く、エフェクトもド派手でかっこいい。基本的には好きな組み合わせで構わないが、純粋に威力が高いものにはよく助けられた。

ただ、オーブとの組み合わせをコンセプトにするならサブウェポンは自由に切り替えさせてほしい。(クリアまで入手できなかった)ジュエルクラッシュとターコイズを合わせれば一応可能ではあるが、選定がランダムな上に宝石の値も張るので気軽に使えない。

魔導器を使う機会があまりなかったのも残念、とは言い切れないのがそもそも魔導器のほとんどを見つけられなかったのが原因。属性鞭の存在もクリア後の情報解禁で初めて知った口で、まあ初期状態でもなんとかなるという自由度の話に繋げてもいい。

 

各ステージの音楽はクラシカルで荘厳な曲調が多く、これもモチベーションを高めてくれた。ボス戦に至っては各ボスに専用のBGMが作られる熱の入用で、クリア後に追加されるモードでは「月下」のBGMをミックスしたものに差し替えられている。このアレンジがまたかっこいい。

3D悪魔城にいまいち食指が動きづらかったところを後押ししてくれた「真実の嘆き」。ゲームをプレイする前でもいい曲だと感じたが、ストーリーの展開と合わさることでより深く、この曲に込められた様々な感情が浸透してくる。そんな中でのダークゾーンで笑いも担保。

 

悪魔城シリーズの中では珍しくイベントシーンが長く、キャラクター描写も印象的。丸腰で乗り込んでくる豪胆さ(脳筋)と高潔さを併せ持つレオン、ストーリーではシリアスな語り口ながらお店モードでは気さくなおっちゃん風でギャップの激しいリナルド

血の気が多く人間を見下してる割には律義に情報を提供してくれるヨアヒム、神への呪いと反逆のために命の理を超越するマティアス、かませのヴァルター、ラスボス枠に昇格した例のあの方と、バラエティに事欠かない。

 

~クリア後~

いいキャラしてそうで呆気なく消滅してしまったちょっと可哀そうな彼が反逆する「ヨアヒムモード」。敵の配置や動き、罠の鋭さに磨きがかかってるらしい高難易度の「CRAZYモード」が解放される。サウンドテストで読める山根ミチルさんのゆるいコメントもいい

 

ヨアヒムはボス戦時と同じく大剣5本を優雅に引き連れるスタイルで、素早い移動と攻撃を同時にこなすことができる。範囲が広くリロードも短いが当てづらい「近接モード」と、威力が高く射程もリロードも長い「遠隔モード」の二つの陣形を切り替えながら戦う。MPが一定量溜まると使える特殊技がとにかく爽快で、MPアップを積み重ねて連発できるようになると更に楽しい。悪魔城には珍しいタイプのキャラクターで新鮮だった。ダークゾーンでの迫真の断末魔は必聴。

Rボタンがロックオンに変更されたことでガードができなくなり、しかもロック距離が狭すぎる上に遠隔モードでも変わらないので結局近づく必要がある。おかげで画面外からの被弾はレオンよりも多く、この点は少し不満。

レオンの特殊アクションが必要な場面には「スピラの寺院にありそうな青いブロック」が設置される。ときにはエレベーターとして機能し、超人以外にもしっかり配慮されていることが伺える。

 

最初にも書いた通り元々のハードルが低かったというのはあるが、次回作の「闇の呪印」も是非プレイしたいと思えるぐらいに楽しめた。