ペルソナ3フェス:エピソードアイギス

後日談だけプレイするという突発的な思い付きから。購入時期からして約13年ぶり。

 

世界を救った主人公の死から数日後。退寮の日である3月31日を繰り返し続ける異常空間に閉じ込められた仲間たちが、アイギスに似た謎の少女型兵器「メティス」と共に脱出を図る、というお話。

前提として主人公はアイギス、ゆかりとそれなりに親密な関係まで進んでいたらしい。それもあって、この二人は特に話の中心的な位置づけになっている。

 

本編も含めて「ギスギスしてる」のがペルソナ3の特徴としてよく挙げられるが、後日談に関しては思ったほど(ほんとぉ?)エピソードギスギスでもない。もちろん終盤のタッグバトルは最高潮だが、それ以外だと序盤のメティスとの距離感ぐらいで、これはまあ不審者に襲撃かけられて怒るな警戒するなという方が無理な話だろう。

というか天田くんは特に痛い目あわされた割に怒りも恨みも感じてないみたいで、この少年、聖人か?大丈夫か?と思わされる。ちなみに乾は「いぬい」ではなく「けん」です。そんなことも覚えていなかった私をゆるして。

「早く終わらせたい」とよく口に出すゆかりを初め、色々引きずってか全体的に乗り気じゃないあたり、4や5の面々との温度差に笑える。まあ状況も方向性も違うから仕方ない、のは分かった上で……あいつらはしゃぎすぎだろ!

 

ゲーム的には本編のタルタロスよろしく、ランダム生成ダンジョンをひたすら進んでいく形式で、主人公の影を追いながら風花の同じような台詞が毎度流れるのが作業感をさらに引き上げる。ストーリー的にも仲間たちのターニングポイント(ペルソナ覚醒の起点)がその都度映されるくらいで、長いダンジョン攻略で脱落しないように少しでもモチベーションを引き上げたかったのかもしれないが、引き伸ばしにも感じて何とも言えない。

 

攻略面では最後まで道中撤退を使うことなく進めた。所持ペルソナのバランスが良かったのはあるが、これは運に左右されるところが大きいので偶然みたいなもの。流れで何とかなるとも言える。

終盤はHPが高い上に弱点が無い敵とよく遭遇するが、真面目に戦ったところでドロップもシャッフルタイムも発生しない無駄な消耗に終わることが多いのでさっさと逃げる。

あとはSP補給の「四谷さいだぁ」をしこたま買っておいたこと。序盤20~30、中盤50、終盤80~。ガコッ...ガコッ...自販機に張り付くアイギスの図。最後まで使わなかった御卵8個のラストエリクサー感も合わせてどうぞ。

 

アイギスはコミュ補正のレベルボーナスが全くないので、経験値取得のグロウ系を継承させ如何にグロウまみれにするかが重要になってくる。

初期レベル50代のスルトやビャッコでも、これさえあれば最後まで問題なく連れて行ける。ただ3は固有スキルが継承できたので、スルトラグナロクと火炎ブースタをセトに引き継いでWブースタ持ちの完成。Wはこのビャッコ、セトの二体だけ。

あとは終盤で反射系スキル、特にタフなラスボス戦ではマカラカーンがあると非常に楽。アイテムでも代用できるが、テトラカーン(フィジカルミラー)の方は交換に必要なオパールがなかなか入手できないので無駄な消費は抑えたい。まあ無くても何とかなる。

 

話が大きく動くのは最終盤。

メティスから「過去に戻れる」ことを教えられ、主人公の命を救うために戻るか、主人公の成し遂げてくれた奇跡を想って未来に進むか、主義主張がぶつかりあう面々。煽るゆかり、激昂する明彦、止めない美鶴。だったらバトるしかねえよなぁ!!

血の気が多いなぁと思えなくもないが差し迫った状況でもあるし、まあまあ子供だからと思ったが、自分が引くこと、諦めることを「大人になる」というのもまた違う気がする......と考えてなんだかアンニュイな話に脱線しそうでやめ。

 

バトルの形式はどうするのかという疑問に「アイギス&メティス組だけ総当たり」というひどい即席ルール。大会運営は何を考えてらっしゃるの?

負けた側が炎となって聖火台に灯される謎アトラクション悪趣味オリンピック。運営h

 

ここでしか流れない「Heartful Cry」。この曲が聴きたくて引っ張り出してきたというのも半分くらいある。

真田と天田のツイン田んぼ、順平とコロマルの野球犬チームを下して決勝戦前にメティスとのお話。風花ちゃん、ずっと見守っています。長らく混迷していたアイギスも決意を固め、さらにグッドアイディアを思いつく。

ゆかりとは一変してライバルとのポケモンバトルみたいな清々しさで言葉を交わす。ここだけは爽やか。そしてWメギドラオンモード(マカラカーンが仇になった)。ただメティスがギリギリ耐えきれる威力だったのでそのまま回復に専念。時間はかかったが無事に勝利。

 

さてアイギスが出した答えは?というところでゆかりちゃん豹変。優勝トロフィー強盗未遂事件。さすがに往生際が悪いぞ!と笑ってしまった。

悲しみを吐露するゆかりに寄り添う美鶴とアイギス。落ち着いたところで、過去か未来かを問う前に、主人公の死の真相を知ることが大事なのではないかと新たな道を提示する。ここら辺は「一時の感情に流されず、冷静に真実を探求する」という方向性でペルソナ4に繋がっている、と今勝手に思い付いた。

 

真相を知ったついでにエレボスをしばいて戻る。このエレボスしばきってなんだったんだっけ?

つまるところ、主人公が解放されるためには「人類が変わる、強くなる」しかないと。現実的に見れば何百年、何千年経とうが変わらなそうなので後はもう「大きく数を減じる」しかないかもしれない。

全てを知ったことで仲間たちのわだかまりもようやく解けたし、結果的にはバトったこともよかったということで。絆があるから、傷つけあうんですよね……。

 

ベルベットルームにて、訳知り顔メティスの真実が明かされる。その正体はアイギスが失意の内に捨て去った人間性の半身。つまりライトニングさんとルミナの関係だったわけだ(真面目に「子供っぽい」部分も含めて似てる)

おめでとう!メティスはアイギスと融合し「命の答え」に辿り着き……解脱します。

アバチュだ!

 

晴れて人間になったアイギスと、親友になったゆかりのシーンで幕を閉じる。「うん、ありがとう!」までの溜めが短くて違和感がある上に「ゆかり!」で締めそうな余韻をたっぷり残しつつ結局言わんのかい!と肩透かしを食らう終わり方だった。ペルソナ3のアニメムービーは全体的にちょっと違和感ある。

 

理由も分からないまま死んでしまった主人公ときちんと別れを済ませる話というか、序盤からふんだんに醸し出されるどんよりした一行の暗い気持ちを前向きにするための「お別れ会」みたいなものかなと。弔いは生者のためにあるものだとは聞く。

まあこのアイギス編自体がなかったことにされてる節があるし、今後リメイクされることもなさそう。とするとメティスも黒歴史として闇に葬られてしまうんだけど……何かしら別の形で顔を出す可能性もなくはないし、もしかしたら「リベンジ」の志でリメイク完全版が来る、かもしれない。